時、金縛りにあった。
全く体が動かない。目さえも動かせず、一点を凝視し続けるしかな
かった。
一点……そう、携帯の画面を見続けていた。
そこに、見慣れたメールの画面はなかった。誰かが、歩きながらビ
デオ撮影をしていると思われる動画が映っていた。何の変哲もない道
を歩きながら。
視点は、人の目の高さにある。自分が歩きながら見ている風景のよ
うにも見える。画面の奥から手前に向かって歩いてくる人もいれば、
視点と同じ方向に歩いている、背を向けた人物も何人かいる。画面の
中央には、視点と全く同じ速度で歩く人物が背を向けていた。どうや
らその人物を追っている映像らしい。夜、家路の途中であるようだ。
映像は非常に滑らかだ。夜の道を滑るように移動している。誰かが
ビデオカメラを持ちながら歩いているのであれば、多少の手ぶれもあ
りそうなものだが、映像にはそれが一切なかった。生きた対象を捉え
た映像ながら、それを追っている側に生の香りがしない。
主人公と思しき人物が家に着く。一人暮らしらしい。テレビをつけ、
風呂に入り、ビールを飲み、夕食を食べる。その一部始終を背後から
見る。
やがて床についた。すぐには寝付けないらしく、布団にくるまりな
がら、携帯でメールを打ち始めた。やがてその人物は、壁の方を向い
たまま動かなくなった。一心に、携帯の画面に見入っているようだ。
先程からかれこれ三十分近く、この映像のまま動かない。金縛りも
解けない。映像の視点から主人公と思しきその人物までは、1メート
ルもないほどの至近距離である。
今、某茶のキャンペーンやっててお茶ばかり飲んでるんだけど、
お茶と言えばこんな経験をしたのを思い出した。
俺が小学校の時、まだ自動販売機で1.5リットルのペットボトルが
売ってた。それで近所の駄菓子屋でお茶を買ったんだけど、
どうもそのお茶が変なんです。
普通に出てきたのはいいんだけど、色が明らかに違う
なんか青っぽい感じのお茶で、すごい違和感を感じた。
普段からそれと同じお茶を飲んでたので、この異常さは
明らかでしたね。
あまりにもおかしいもんだから、飲まないで自分の部屋の
隅のほうに3日くらい放置しておいたんです。
その後は、掃除の時に邪魔だったので
普段全然使わない机の引き出しに入れておきました。
そんなこんなで月日が経ちました。
3ヶ月くらいでしょうか?年末だったので
大掃除をしていて、机の中も掃除しようと開けたんです。
するとお茶の中が変なんです。栓も開けてないのに
明らかに何かあるんです。
中をよく見てみると毬藻(まりも)のようでした。
しかし、さらによく見てみると目玉になっていってるように
見えました。
その時、なぜか酷く恐怖しました。
とにかくヤバイと思いました。
このまま放置し続けたらきっと大変なことになると。
それで大慌てで外に行き下水に流しました。
アレはいったい何だったんでしょうか?
ただ思うのは、あの時アレを飲んでしまっていたら・・
と思うと、今でもゾッとします。
なんか突っ込みどころ満載な気が…
どこ?
マジな経験談だから答えられるぞい。
亀レスで申し訳ないんだが、お茶にマリモ(もどき)って、冷蔵庫に入れて
おいても、ある程度期間が経つと普通に出来るよ。
それが何なのか、どうして出来るものなのか分からないが、
「そういうもの」
って事で自己解決した。
友人が実際に体験した話です。
その友人の家は2,3年前に新しく別の場所に家を建てて
住んでいるのですが、その家に引っ越してきた時の事です。
新しい家ではじめて迎える夜、2階の自室で寝ていると急に金縛りにあったそうです。
そして目だけで横を見てみるとそこには女性が。
じっと友人の方を見て
「ねぇ?約束したよね?」
と何度も聞くのです。当然誰約束した覚えのない友人は
「貴方と約束した事なんかない!」
と必死に言ったそうですが、
「約束したよね。遊ぶって約束したよね?」
と聞くので早くのこ恐怖から逃れたいために
「わかった!わかった!」
と必死に叫んだら
「じゃあ、また明日来るから」
と言って消えて金縛りも解けたそうです。
しかし「また明日来るから」と言ったものの、その日以来
その霊は現れていないそうです。
そのかわり時々1階にいると2階でドタドタと子供が走り回っているような
足音が時々聞こえるそうです。
会社の同僚に、現在進行形で起きている実話。
最初に断っておくが、おれは小動物を面白半分に殺すようなヤツは軽蔑するし、そいつ本人がやったのと同じやり方で殺されればいいとすら思う。
確かにそいつが犯人ならば……
同僚の名前を仮に伊藤とする。
伊藤はいつもどおり、会社へ出勤しようと駅へ向かっていた。
途中、道路脇に仔猫の死骸を見つけた。
最近よく見かける仔猫だったので、可哀相に車にでも轢かれたのかと近づくと、小さな蟻が頭の下の血だまりにたかっている。
よく見ると、仔猫の左目がくり抜かれて、白い筋でつながって血だまりの中に転がっている。
どこかのくだらないガキがやったんだろう。嫌な気分になった。
このまま放置するのも可哀相だが、時間もないし、正直素手で運ぶのは無理だと思ったので、せめてコンクリートの上ではなく、土の上に置いてやろうと新聞で包んで植木の横に移動させた。
会社でおれはその話をその日のうちに雑談として聞いていた。
で、その日、伊藤が自宅のアパートへ帰ると、夕刊と一緒に何か紙が入っている。
チラシだと思って見ると、怒り狂って書き殴ったような字体で、
『猫を虐殺したおまえは殺された猫以下の価値しかない!!
呪われろ!!』
と真っ赤なインクで書かれていた。
何を勘違いしてるんだ、おれは可哀相だと思って移動させただけだぞ!
伊藤は紙切れにむかって怒鳴りたかったが、自宅の郵便受けにこれが入っていたということが薄気味悪かった。
会社に行っている間に入れられたという事は、自分がどこに住んでいるか知っている近所の人間がやったという事だからだ。
嫌がらせめいた事は、その紙切れ1枚だけだった。
ところが、伊藤の身におかしな事が起き始めた。
左目が痛む。
起きぬけには半透明の黒い点や糸くずのような物が見え始めた。
ちょうど使い捨てレンズを買うついでがあったので、レンズを購入し、併設の眼科で見てもらうと、
「飛蚊症でしょう。レンズは正しく扱って、時々目を休めるように」
程度の説明だったが、その日の夜に激しい痛みに襲われた。
会社には出勤したが、左目から涙が止まらない。
伊藤の左目は細かい血の筋が黒目へと何本も走っていた。
会社を抜けて、隣ビルの眼科へ受診しに行った。
そこで、「角膜剥離を起こしている」と言われた。
伊藤はおれに紙切れの話をした後、
「まさかとは思うけど、これって呪いなのか?人違いでも呪いってかけられるのか?」
と、呟いた。
建前として、
「偶然だろうけど、タイミング合いすぎて恐いな」
と、言っておいたんだが…。
こんな酷い呪いがあるか?
そんな酷い呪いはありません。
単なる偶然です。
その猫を置いた植木の所に、誰かが書いたその紙と
「猫を殺したのは俺じゃない。呪いはお前に返す」
と紙に書いたものを置いてくるべし。
私は現在、ある地方大学医学部に在籍している者ですが、
オカルトではありませんが、医学部にはいろいろと不気味な場所が
存在します。そのなかの一つ、「法医学研究室第一標本室」のお話です。
私の住む地方には検視監制度がなく、いわゆる異状死体は全て大学の法医学
教室に搬送され、司法ないしは行政解剖が行われます。
それはそれは様々な異状死体が運び込まれてくるわけで、中には練磨の
法医学教室のメンバーでさえ目を覆いたくなるような無惨なものもあります。
これらの異状死体は証拠写真を撮影された後解剖され、遺族のもとに返される
わけですが、まれに、遺族からも引取りを拒否されたり、法医学・解剖学・
病理学上、大変興味深い異状死体が搬入されることがあります。
このような医学上珍重な(そして大変グロテスクな)標本の多くが収容されて
いるのが「法医学教室第一標本室」、通称「穴倉」です。
「穴倉」は地階の教室を数個ぶち抜いた非常に広い部屋です。
しかし広いには広いのですが、地階であるせいか、はたまた
建物が非常に古いせいか、隅々まで照明がいきわたっておらず、
昼間でも電気をフルにつけていないと足元がおぼつかないほどです。
しかし私自身を含め「穴倉」に始めてやってきた人間は、電気が
ついたとたん、非常に驚いてしまいます。なぜなら壁という壁には
異状死体の写真が隙間なく貼り付けられており(しかも多くが
フルカラー)、猟奇殺人鬼の隠れ家に迷い込んだような錯覚を覚える
からです。
それはもう、さながら「異状死体博覧会」の様相です。
轢死体、水死体、刺殺死体、撲殺死体、銃殺死体、事故死体、
病死体、自殺死体、感電死体…そこにはありとあらゆる「死」
の見本がそろっているのです。女性の中には冷や汗をかきだしたり、
デリケートな方は嘔吐されたり、中には貧血で倒れてしまう方も
おられます。男性もやはり、皆さん一様に驚きと、何ともいえない
ような表情を浮かべてしまうようです。
「穴倉」の不気味な所はここにとどまりません。私も未だになれずに
やむを得ずにうかがった際にはできるだけ見ないようにしている一角
があります。そこにはなんとおびただしい数の「縊死体のデスマスク」
があるのです。
昔、ある法医学者の方が「絞首刑にあった罪人の顔はみな一様であり、
もしかすると死体のデスマスクから犯罪を犯すような人間の顔の類型化
が可能なのでは。」とお考えになり、行政と協力なさってデスマスク
の収集を始められたそうです。
収集当初から「縊死体が同じような顔面になるのは、窒息とその後の
過程から当然である。」との反論が大勢だったのですが、その先生は
反論には一切耳を貸さず、ひたすら刑死人のデスマスクを全国から
集めて回ったそうです。その先生は平成になってからお亡くなりになり
ましたが、死の床に伏せられるまで、この主張を変えられなかったそうです。
このような経緯で、現在「穴倉」には表に出ているだけで十数体、研究棟のどこかには
まだ数十体のデスマスク標本が眠っているそうです。
やはりこのような標本があると、オカルト的な話が様々に沸いて出てくる
のですが、私はあまりそのような話は気にしないようにしています。
夜中にデスマスクの目が開く、涙を流す、断末魔の叫び声を上げる…
しかし噂は噂に過ぎず、法医学教室のメンバーでそのような経験を
したという話は聞きません。
ただ、「穴倉」にはまだまだ不気味な場所があり、
ふざけ半分で「開かずの間」などと呼ばれています。
大きな南京錠が二個かけられた、おそらく細長い部屋なのですが、
教授をはじめ誰も中をのぞいたことがないのはおろか、中に
何が収納されているのも知る人がいないのです。
過去に何度も開けようとする試みがあったらしいですが、
当人たちが尻込みしたのか、実際に開けてみたという話は聞きません。
しかももはや鍵そのものがどこかに失せてしまっているのです。
その部屋いつから「開かずの間」になったかと言うと、件の「先生」
が大学を退官なさってからだそうです。それまでは個人的な標本、
おそらくデスマスクを収納していたという話ですが…
来年、とうとうその研究棟も建替え工事が行われ、「穴倉」も
消えてしまいます。そのときあの部屋からは何がでてくるのでしょう?
医学部にはオカルトではありませんが不気味な場所がまだまだたくさん
あります。「穴倉」の話もその一つに過ぎません。
また機会があれば、お話できればと思います。スレ汚しの駄文、
失礼致しました。
ぜひまたお話をかいてください。
楽しみに待っています。
熱列歓迎です。
>>879
こういう、ある種の閉鎖的な空間てなんか独特の雰囲気があるよね。
特に昼間人が多くいるけど夜になると途端に閑散とする場所って
変な名残みたいのがあって不気味。
続きも期待してるよ~
先輩から聞いた星山荘の噂・・・「脇道にそれてしばらくすると電柱に御札が
貼ってあるんだわ。俺も行った事無いから知らんけど」
といった普通の小ネタでした。それが俺には救い舟だった訳ですが・・・
先輩の家はカメラ屋をやっていて色々と肝試しには都合の良い物が揃って
いました。8mmビデオ、ポラロイドカメラ、普通のカメラを持ち車に乗り
込み現場へ向かいました。車中、「霊は本当に居るのか?」という話題で
盛り上がったのですが、6人の内2人は頑として霊の存在を認めようと
しませんでした。その内の1人が後日俺にこう言いました。
「信じて無いワケじゃ無かったんだけどな」「空気があるだろ、その場の」
「すげー後悔しとるけどな」・・・
例の橋を渡り脇道にそれた所から現場まで徐行して電柱に注目しましたが、
結局御札は何処にも見つかりませんでした。
少しガッカリ、内心ホッとしながら星山荘の入り口で車を降りた所で先輩が
少し意地悪そうな笑みを浮かべてこう言いました・・・ 続く
「おい、AとB。(信じて無いと言い張った2人)」
「お前ら信じて無いんだろ?2人で行って来いや」
Aはぎょっとした様に「えっ!?」と言って固まってしまいました。
するとBが「あぁいいで。おいA行くぞ?」と言って8mmとカメラ2つを
持ってAに「ほれ、お前ビデオな」と手渡しました。
Aも此処まで来て断るワケにはいかず、明らかにビビリながら付いて行きました。
しばらくして2人は何事も無かった様に帰って来ました。
その場でポラロイド写真を見てみましたが何も写っていませんでした。
「何だ?何も写ってないがな」「やっぱりただの噂だったんか」等、
口々に悪態をつきながら車に乗り込もうとした時、俺はぎょっとしました。
すぐ側の電柱に御札の様な・・・ボロボロになった紙切れが今にも落ちて
しまいそうにへばり付いているんです。思わず「ウワッ!!」と声をあげ
て後ろにいた先輩の足を思い切り踏んづけてしまいました。
「痛っ」「何だおい?」俺はなるべく平静を装いながら、
「あそに貼ってあるのって御札っぽく無いですか?」と言い電柱を指差しました。
皆が寄ってきて確認しましたが結局何が書いてあるか解らず御札である事を
確認出来ませんでした。が、あれはやはり御札だった様な気がします。
今となっては確認する術もありませんが・・・ 続く
帰り道、AとBは「全然怖くなかった」とか「やっぱり霊は居ない」等と
軽口を叩きながら余裕の表情でした。
先輩の家に着いてもう一度ポラロイドに何か写って無いか確認しました。
やはり何も写って無い・・・・
「じゃあビデオ鑑賞でもしますか!」とB。
皆が集中する中ビデオが再生されました。
Aはやはり怖かったらしく「御免下さ~い」「失礼しま~す」等と
少しでも自分の中の「恐怖心」を消そうと努力していました。
見終わった後に先輩が「やっぱ何も写ってねーなー」
「見落としとるかも知れんし、もう一回見てみるか?」
と言ってもう一度再生ボタンを押し、今度は少し和やかに「上映」が始まります。
そこで俺はある事に気付きました。少なくとも俺は2回目で。 続く
確かに見落としは無かったのです。しかし「聞き落とし」はあったのでした。
Aが「御免下さ~い」と言った後に、かすかなノイズに混じって、それは女の人の声でした。
「はい、どうぞ」
小さな、本当に物音に紛れそうなか細い声でしたが、確かにそう答えているのが聞こえました。
「失礼しま~す」
「散らかっていますが・・・」
やがてAも先輩も気がついたらしく、顔には脂汗がにじんでいました。
「おい、これって・・・」
ビデオは進んでいき、Aが独り言を言うたびにその声は答えていました。
「いい部屋ですね~」
「ありがとう」
「あ、ふすま破いちゃった」
「気をつけてね」
もうみんな無言でした。
そしてやがて星山荘を出るとき。
「それでは失礼しま~す」
「 お い 待 て 」
俺の気付いた事。それは「雑音」「ノイズ」
俺は無意識に「このザザッって音何ですかね?」と聞いていました。
「ああ、俺もさっきから気になってんけどな」と先輩。
「ちょっと巻き戻し」テープの始めまで巻き戻して再生。
「ボリューム上げて」と先輩。そこから聞こえてきた「ノイズ」には・・・
A「失礼しま~す」・・・「ザ・・ザザマセ」
ん?何か聞こえた?皆息を呑んで見守る中もう一度最初から再生・・・
A「失礼しま~す」・・・「・・いらっしゃいませ・・・」
その「ノイズ」にはありえない声が紛れていました。ただ、その声が聞こえた
のは俺と先輩とAの3人だけでした。
他の3人と途中から合流した先輩の彼女には「何も聞こえていない」んです。
Aは顔面蒼白になり、その後しばらく元気がありませんでした。
今でも、皆で飲みに行ったりすると「例のビデオ」の話で水掛け論したりします。
その後、もう一度人集めてビデオ上映会したんですけど今度は雑音すら聞こえ
ませんでした。「ノイズ」が消えていました・・・
この話について後に色々脚色されて某県中に広まりました。
元は、俺と数人が体験したこんな話です。
はじめに
Tさん、人に話すけど許してください。
この話は、私が大学1回生のときから卒業して1年3ヶ月目に起こった
5年間にわたる長い話です。
長い話ですので、大学時代の経緯は掻い摘んでお話します。
私は大学に入学してすぐ軽音楽部に入部しました。そこにはTさんという
見るからにおとなしそうな女の子がいました。
Tさんはいつも一人で、もくもくとキーボードを弾いていました。
夏休み前のある日、練習場でTさんがおろおろしていたので「どうしたの?」
とたずねました。
「…ヘッドホンを忘れたの…」
「俺、家近くだからとって来てやるよ」
後で聞いた話ですが、これがTさんがサークルに入って初めて交わした会話だったそうです。
思えば、この会話がすべての始まりだったのかもしれません…
その後Tさんと会話した記憶もなく、日々は過ぎてゆき、バレンタイン・デーがやってきました。
私の下宿のポストには、差出人不明の郵便物が入っていました。シガレット・チョコでした。
その当時、お菓子に薬物を混入する事件があったこともあり、気味が悪かったのでそのまま捨てました。
2回生になり、新入生とともに私の同級生のN君とK君が入部してきました。
私はこの二人とはどうも気が合わず、どちらかと言えば避けていました。
その夏の合宿でのことです。夜に宴会をしていると突然Tさんがマイクを握り締め、こう言いました。
「私○○君(私のことです)に遊ばれて捨てられたの!」
私は頭が真っ白になりました。この人はナニを言ってるのだろう?遊ぶって…?
この時点で私とTさんとの間で起こった出来事と言えば、ヘッドホンを貸したことくらいです。
ボーゼンとしていると、N君とK君がTさんを外に連れ出して、なにやら慰めているようでした。
後で聞いた話ですが、Tさんは躁鬱病になっていて、現実と空想の世界との区別があやふやになっていたそうです。
そして3回生になり、私もサークルのスタッフとなりました。このころからTさんはトランキライザーを常用する
ようになり、ワインのビンを片手にキャンパスを歩いている姿が目撃されるようになりました。
顔は薬物のため1.5倍くらいに膨れ上がり、意味不明の言葉を発するため講義中に退出させられることもあったようです。
サークルも休みがちなので、スタッフ代表として彼女の自宅に電話して、今後どうするのかを相談しようと思いました。
電話をとったのは彼女の母親でした。娘が大変迷惑をかけていると何回も詫びておられました。電話の奥で、柱時計の
鐘の音が聞こえたので、なんとなく、Tさんはお嬢様だったんだなぁと思いました。
4回生になり、就職活動が忙しくなったこともあり、サークルにはほとんど顔を出さなくなりました。
うわさでは、Tさんは休学したとのことでした。
そのころから、いたずら電話がかかるようになりました。
…無言
毎日毎日、夜の12時前後に必ずかかってきます。
そのうち、あることに気がつきました。
電話の向こうで柱時計がなっていることを。
トランキライザー:精神安定剤
卒業後、私は金融機関に勤めましたが、激務のため、1年間でやめてしまいました。
その後、以前バイトしていた社長の世話になり、一軒家にバイトの人たち3人と住むようになりました。
ある日、私は朝から体調を崩し、家で眠っていました。
夜、隣の部屋の子が、「元気か~」とドアを開けました。
目の悪い私は、その子の姿がぼんやりとしか見えません。
なんとなくもう一人後ろにいるようだったので、「誰が来てるの?」とたずねました。
「俺一人や」「ふ~ん」そのときはなんとも思いませんでした。
夜中に目が覚めると、留守番電話にメッセージが残っていました。
再生すると、なんというか、雑音がいっぱい入ったスピーカ・ホンのような状態で、私の大学時代のことをぶつぶつ
いっているようでした。「誰?」「女?」「サークルのこと?」そんなことを思いつつ必死で心当たりを探っていると
電話のベルが突然鳴りました。N君からです。
「Tさんが自殺した。裁断機で左手首を切り落としたらしい」
最初は何のことかさっぱりわかりませんでした。
「そのことで話がある。明日会えないか?」
いつになく真剣だったので、思わず承諾してしまいました。
翌日、N君の下宿にK君と私が集まりました。
N君が私に便箋を差し出し、「読め」と言いました。
そこには紛れもなくTさんの筆跡で、自分は私に捨てられたこと、自分のことでNとKが争っていること、自分は
早く結婚したいこと… およそ事実とはかけ離れたことが書き綴られていました。
K君にも同じような手紙が来ていたのですが、N君は別のところを指差して、「ここを見ろ」とぶっきらぼうに言いました。
自殺があった日が7月2日、手紙の消印が5日…
私は、彼女の死後、両親が投函されていない封筒を見て投函したのだろうと言いました。
そういいながら私はあることに気がついたのです。
留守番電話のメッセージ
タイムスタンプは4日になっていました。
そのことを話そうとした瞬間、N君が「誰?」と叫びました。
玄関のドアがカリカリとなってます。誰かが引っかいているような…
そしてドアがガタガタと揺さぶられ、こじ開けられようとしています。
ギッ
少しあいたドアの隙間に見えたのは、手首までしかない女性の左手でした。
引用元: https://hobby4.5ch.net/test/read.cgi/occult/1058468069/
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